言葉の欠片

開演間近の高揚した空気が好きだ。

期待と興奮。
ざわめく場内。
明かりが落とされ…まだ静かなステージ。

HEDWIGのロゴがネオンのように点いたり消えたりしている。
綺麗だな…

四方から照らす為にセッティングされたライト。
舞台装置は、あらゆる色と明度に彩られる光と影の芸術だ。
うっすらと漂うスモークの中じっとしていると、夢と現実の境界線が見えなくなる。



開演。
ブザーはなかったように思う。

やっぱりぞろぞろと無言で出てくるアングリーインチ。

やがて。
コツコツ…
靴音を響かせて登場したイツァーク。
凛々しく陰のある、タクちゃんのイツァーク。
見るのは今日が初めてだ。

「Ladies and Gentlemen  HEDWIG!!」
低い。太めの声、誇らしげに。
ああ、やっぱりいい声。
この声だけでタクイツァークに気持ちごと呑まれた気がする。


イツァークが指差す。
ライトの中に現れたヘドウィグ。
顎をツンと上げ、唇を真一文字に引き結び。
高慢で自信に満ち挑戦的。
でも、ふと微笑む表情の艶やかなこと!




二人の歌は、信頼しあった者同志が互いにぶつけ合うような拮抗した力の爆発を感じさせる。
なんてパワフルなんだろう!
イツァークのコーラスに乗って、ヘドのマントが力強く翻り床が揺れる。

ベルリンの壁とヘドウィグ。
あらゆる境界線。
イツァークの語りはぶっきらぼうで、どこか怒りを内包しているよう。
少し不明瞭な日本語が、その鬱屈した心の揺らぎを表しているように見える。
イツァークという人に、今までになく興味を持っている自分がいる。




『ORIGIN OF LOVE』
この曲を聴いている時、いつもとてもしあわせな心地がする。
まだまだこの空間に浸っていられる幸せ。
ロマンティックな愛についての考察。
歌うヘドの懐かしむような優しい微笑。
「Last time I saw you. We had just split in two. You were looking at me. I was looking at you.」
ここの静かで柔らかい声が好き。

なんていい曲なんだろ。




『WICKED LITTLE TOWN』ヘドウィグバージョン

噂に聞いていた、あの色っぽい座り方。
どこから見ても女性に見える。
長いブロンドの髪を直す仕草。
そっと撫でつける指がいじらしい。
斜めに下ろした足が細くてキレイ。







ヘドウィグについて考える時、楽曲のそれと同じくらい言葉の持つ煌きを感じる。
哲学的な響き。
ユーモアと自戒。
温かさ。
そういうものに人は惹き付けられるのかもしれない。


「ベッドの向こうには過去の残骸、うず高く積まれた結婚1周年のプレゼント」
「私の個人的な絶望、私の個人的な地獄…私のヘドウィグ」
「ヘッドのウィッグ、頭の上のカツラ」
「私泣いたわ。泣いたのは泣いてないと笑っちゃうから」


「あの子の目は透明なシリンダー、びっくりするほどからっぽで濁った青い水たまり。私と同じ」

「あの子は笑い、言葉が泉のように溢れ出した」

「私の目は血で濁ってはいない。あの子の顔も血で汚れてはいない」
「私は人生最大の難問の答えを見付けた、あの子こそがカタワレ」




断片的に残るヘドウィグの言葉を思い出そうとしてみる。
もっと記憶力がほしい。
ヘドの言葉を全部覚えていたい。
あんなに胸に染みて…でもさらさらと砂のように零れていく。

言葉の欠片だけが、ほんの少し耳に残っている。





またいつか、その言葉を聞かせてほしい。






追記
取り留めのない日記になってしまいました。
表情とか声とか、言葉とか。
とにかくいいシーンが多過ぎるので覚えていられない。
やはり2度だけの観劇では記憶がかなり曖昧です。
タクちゃんは一度きりだしね。
あと3回くらい観たかったなぁ。

でも、やっぱりヘドウィグが好きだ。
そしてタクちゃんの男前さに惚れました♪
ファイナル公演は最高でした!

ライブはとにかく楽しみます(^O^)/

ペンライト(?)持って行こうかな?
[PR]

by aquadrops | 2008-06-20 00:23 | Monologue | Comments(0)